よく理論と実践にギャップがある、それは芳しくないことだ。というようなことがまことしやかに言われる。
ただ、ここに存在するギャップはよろしくないものなのであろうか。もう少し実践にあった理論をといわれる。しかし、いわゆる理論というものはある種の一般化の産物であり、具体的状況における実践とはギャップができて当然である。もっと言ってしまえば、規範理論などはギャップを生み出すことそれ自体を目的にしている。l
問題なのは理論と実践の間に生じているギャップが誰によって、どのように解消されている、もしくは放置されているのかという、その両者の間に働く力学を明らかにすることなのではないだろうか。ギャップの存在それ自体を議論するのはばかげていて、理論とは良くも悪くもギャップを生じさせることに使命があるのであれば、そのギャップの及ぼす波紋のようなものを記述することのほうが建設的な気がする。その結果理論と実践の双方が変容を遂げていくのではないのかなぁと思う。
あれ、そうなるとギャップがあることを批判するのは建設的ということになるのか。
あ、そうだ、ギャップの存在を理由に理論を否定する実践家が嫌いだということが根っこにあるから、そういう人に向けて書き始めたのだった。実践を否定する理論家も嫌いだけれど。そんな理論家に比べれば前者の法がましな気はする。
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