『飲み屋のトイレで友がくれた11件目のメールを読んだときだ。』
この文章を立ち読みしているとき、僕は涙が出そうになった。ファミリーマートの雑誌コーナーで。
冒頭の言葉は現在モーニングに連載中の宇宙兄弟という漫画の今週号のラストを飾るものである。JAXAへの合格を無事決めた主人公がいつその手に余るほどの合格という事実の重みを実感するのか。そのうれしさを厳しさを持ってこのほかでもない自分自身のものとして享受するのか。今週号には現実とそれに対する自分の感覚の関係の面白みが凝縮されている。事実と真実の違いといったら月並みで使い古された言葉になってしまうが、事実が文字通り現実のものとして自分に獲得された経験となるときのタイムラグを、そして現実に付きまとうさまざまなひだをその手触りを見事にあらわしているものであった。僕はこの漫画を連載当初から読んでいるのであるがなんとも好きな漫画である。
この主人公は面接官に死ぬ覚悟はあるかと聞かれて、ないですと答える。これと似たようなやりとりは流浪人剣心やばがぼんどなどでも見られるいわば漫画ではお決まりのものなのであるが、宇宙兄弟ほどその言葉に温かみ、人間くささ(汚らしさも含めた)がこもったものはないように思う。こんなことを書いていると漫画を集めたくなってきたので、ここらへんでやめておこうと思う。
MEMO
最近読んだ本。
・重力ピエロ
・向日葵の咲かない夏
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